論文メモ(2013/05/12-2013/05/18):進化計算と合成生物学

N Noman, L Palafox and H Iba (2013), "Evolving Genetic Networks for Synthetic Biology"

  • 発振器,スイッチ,フィルタ,センサ等の機能を持ったGene Regulatory Network(GRN,遺伝子制御ネットワーク)を設計する
  • Luらが指摘した,次世代の合成遺伝子ネットワークの設計と構築に必要な4つのイニシアティブ
    • パーツやモジュールのライブラリの構築と拡大
    • 複雑なネットワークの構築を容易にするモデル化とその最適化
    • 異なるエンティティの定量的評価を可能にするプローブの統合
    • 遺伝子回路の設計と検証のためのテスティングプラットフォーム
  • 遺伝子ネットワークのモデル化の2つのパラダイム
    • 常微分方程式(ODE)や偏微分方程式(PDE)で分子の個数の変化を表現する決定的アプローチ
    • 化学反応の確率的シミュレーションを行う確率的アプローチ(Gillespie's algorithm)
  • 大規模な合成遺伝子ネットワークの自動設計に進化計算を用いる利点
    • 合成遺伝子ネットワークは構造の同定とパラメータの最適化の2つのサブ問題に分けられるが,どちらも進化計算により扱うことができる
    • モジュラーなネットワーク構造を活かすことができる
    • 遺伝子ネットワークは進化計算がその効果を発揮する非線形問題
    • 確率的な振る舞い,線形・非線形含めた多数の制約のあるシステム,ノイズの大きい環境下のシステムにも効果的
    • Multi-Objectiveな進化的アルゴリズムなら多数の互いに衝突する制約の下でも解を見つけることができる
  • 実際に多くの進化計算の合成遺伝子ネットワークへの適用例がある

L Palafox, N Noman and H Iba (2013), "Study on the Use of Evolutionary Techniques for Inference in Gene Regulatory Networks"

  • 実験で得られている遺伝子の発現データをもとに遺伝子制御ネットワークの構造を推論
  • 遺伝子制御ネットワークの2種類のモデル
    • S-System:微分方程式による表現
      • 通常のParticle Swarm Optimization(PSO)に,局所最適解に陥ることを防ぐために一定確率でのランダムな速度・位置の変化を加えたDisspative PSOによりパラメータを最適化
    • Recursive Neural Network(RNN)による表現
  • RNNとKPBILの結果が比較的精度が良く,また高速

M Hagiya and I Kawamata (2013), "Towards Co-evolution of Information, Life and Artificial Life"

  • BioinfomaticsやSystems BiologyはLife→Information,Synthetic BiologyはInformation→Life
  • InformationとLifeの共進化が可能
  • Synthetic BiologyやMolecular Roboticsの実験結果をデータベースのデータベースをMediaWikiで構築
  • 進化計算によるin-silicoの進化をin-vitroの進化を組み合わせる